それらの国々でも
――新しい国際性を求めて――
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)文芸復興《ルネッサンス》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)日本らしい[#「日本らしい」に傍点]感情のかげが沈んでいるか
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 わたしたちの生活の間で、国際的という言葉はこれまでどんな工合に使われて来ているだろうか。
 日常の言葉として、国際的という表現をあまりつかわない人たちでも、スポーツの場合はごくすらりと、世界記録というつかみかたで、国際的な水準なり、ある程度その感覚なりを身につけて来ている。
 この節では国際結婚という言葉も日用語に近くなった。モードについて書かれている記事の中に、ロマネスクは目下モードにおける国際的傾向であると書かれているとき、むずかしい言葉でかいてあるわ、と批難する娘さんたちはいない。日本の娘のおどろくような順応性で、国際的モードといえば、世界中どこでもという意味を理解して、自分もそれにおくれまいと願う。
 国際的という表現は、どんな素朴な心にでも、それは自分の国の内ばかりでなく、よその国々の内においても
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