外山、田代、伊藤、清水も――あとから飯田も共同謀議に参加している』といいました。これはまったく事実でないことですが、しかし」「証拠がなくても認定できるといわれると」「何もやっていない横谷やほかの人たちまで無実の罪をきせられるようなことがあっては、なんとしても申しわけなく、それを考えるといても立ってもいられなくなったのです。」そういって竹内被告は、七月十五日事件当夜のてんまつを詳しく語った。「まったく単純な労働者の怒りを見せて、当局を反省させてやろうという気持と、電車を動けなくすれば全国的なストに入り、当局もかならずまけるにちがいないと信じてやったのですが、あんな悲惨な結果がわかっていたら、もちろんするはずはなかったのです」「私は運転手を五、六年した経験で、あの電車は当時の状況からみて、『一たん停止』の辺で脱線すると信じ、本線その他に危害がおこるとは考えていませんでした。」この面会で、竹内被告は一人の労働者として、また妻の心を思いやり、五人の子供たちの将来を考えると良人、父親として切ないこころのうちを告げた。(岡村弁護人の筆記による)
しかし、竹内被告は、神崎、相川両検事の働きかけによ
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