れでいいのではないだろうか。
 現在見えているいろいろの問題の性質と大会報告の印象から、わたしは、飾りけなくまた他意のない提案として、「勤労者文学」という柵を発展的にどけて、はっきりした歴史的使命をもつ労働者階級の文学を押し出して欲しい。そのことによって、民主主義文学全体としての関係をも正しく位置づけ発展させることができるのではないか。インテリゲンツィアをどけて、今、働いている人々、中小商工業者、学生などという社会階層の姿、即「勤労者」とする柵は現象的であったし、あいまいでもある。
 新しいファシズムに対して、どんな形で平和へのたたかいがはじまっているかということをみてもこの要求は自然である。革命的小市民の立場の作家から、もっとひろがって、進歩的、良心的作家までが、生活の剥奪と戦争への反対のために立っている。それゆえにこそ、狭くなった「勤労者文学」の柵はどけられて、よりつよくはっきりと労働者階級の文学の主導的な性格が押し出される必要がある。そのことによって、かえってのびのびと人民各層の文学的発言の可能が為されるだろう。
 中国の人民の勝利。国内の民主勢力の増大。それに対して第三次吉田内
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