そういう大きい文学的[#「文学的」に傍点]区わけで話された。だが、そのほかにサークルの人々の文筆的な表現は職場の壁新聞に生かされることができるし、労農通信という方向で、どう生きてゆくかというその問題にたってひらかれてゆく可能もある。
 現在いろいろな成員をもっているサークルの、どこかで流通のとどこおっている空気のまま、岩上順一が座談会で力をこめて云っているように労働者として「一番大事なもの、闘争なら闘争の一番進んでゆく道」を記録としてかくように「意識的に」サークルを刺戟したとしても、果して意図される成果がもてるだろうか。これまでのところ、文学サークルは多種多様の成員をふくみながら全体として文学を通じて民主的な人間成長、勤労者階級間の諸関係についての自覚、つまり感情や意識を民主的労働者として統一的に高めてゆく場所の一つとして、十分の活溌さにまで働きかたを会得させられていない。「最もおくれた労働者の間にも『活字にのせたい』という本格的情熱――掠奪と圧制の上に築かれた現代の社会秩序全体とのたたかいのこういう萌芽的な形態への情熱が発表している」というレーニンの人間らしい洞察に立って具体的モメン
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