下での出版と社会主義社会での出版の方法が、どのようにちがうかをのべている。労働者農民の文学好きな人たちは、どのようにして職場からの通信員となり、大衆場面で文学的成長をとげてゆくかという過程にふれている。サガレンでは経験されなかったらしいが、一九三〇年ごろからソヴェトでは自立劇団と少数民族劇団が年に一度モスクワで演劇オリムピアードを開いて、一年間の成果を評価しあう。そのような労農通信員《ラブセルコル》のルポルタージュ・コンクール、小説コンクールももたれ、優秀な作品は出版される。すべての出版物は、特別なもののほか、いつもルポルタージュや小説、詩のための場面を、大衆の中からの執筆者に向って開放している。現代の若い作家の大多数は、そのような道をとおって成長して来ている。
小原壮助は、社会主義社会では大衆的な場面を通って、一人の若ものが作家として成長して来るというプロセスに対して全然懐疑的であり、否定的である。「大衆の批判というものがどんなものか、我国の場合で考えても、志賀直哉と吉川英治を国民大衆の討議にかければ、後者が選ばれること論をまたない」と。
小原壮助が、社会機構や生活感情のすべての
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