ひき」に傍点]にたよったりする文学的卑屈さを排そうとする性格をあらわしているように見える。同人雑誌であってもその中で積極的な能力を示す、人々のヘゲモニーのもとに一つのせまい文壇的流派にあつめようとするよりも、むしろ、これまで、より細分された文学愛好者グループとして、旧い文学と文壇潮流からうけて来ている個性の偏倚や文学観のかたよりを解放しようとする方向にある。一定の成功を示しているか、それともまだ緒についたばかりであるか、というちがいはあるにしろ、こんにち、人民生活の独立と自由と平和をねがって、文学もその心の叫びとし、行動と信じている人々の間で、同人雑誌は、少くとも在来の文壇とジャーナリズムの上に「老舗」たらんとする「文壇の登龍門」や「道場」ではない。[#地付き]〔一九五〇年十一月〕



底本:「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年11月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十一巻」河出書房
   1952(昭和27)年5月発行
初出:「新日本文学」
   1950(昭和25)年11月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年4月23日作成
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