。
綿一つうち直させても、本当の綿の減っている近頃は、うち直す方も直させる方も一種の神経をつかうようになっている。いろんな闇も、闇をめぐる人心の波紋が生活感情の機微であると思う。日常の生活感情に一定の規格が単純に太い線で描きあてられている一方、それは体の上へ描かれた縞のように、縞をつけたまま人気はそれ自身の動きの方向と角度を示している。生きて寸刻も止まらぬ人気というものを私たちは一番痛切に感じている。
[#地付き]〔一九四〇年十一月〕
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:「改造」時局版十二輯
1940(昭和15)年11月発行
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング