すねえ。
[#ここで字下げ終わり]
と云いながら、杏の砂糖漬けだの青梅から作った梅酒などを※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子達にすすめた。
お久美さんは※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の話し掛けるのを待ち兼ねて居る様にしてじいっと座って居た。
※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子も亦たった一度でもお久美さんに話す時を得たさに居たくもない所に座って、仕たくもない――平常なら此方から頭を下げても仕たく様[#「く様」に「(ママ)」の注記]な下らない馬鹿話しをからくり人形の様に、無神経な木偶の様にぐずぐずと喋って居なければならなかった。
よく※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子の気を見て居るお関は※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子が口を切る様に少しの暇を与えては、漸うさぐり得た二人の話の緒をヒョイとわきから引っ浚っては楽しんで居る。
※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は素直にお関の玩具になっては居られなかった。どうしたってお関は今夜話させまいと掛って居るのだと思うと半分
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