腰になって居て、隅の方にお久美さんがしょんぼり眼を赤くしてうずくまって居た。
 ※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は嵐の起ったらしい様子にちょっと躊躇したけれ共何でもない様にお関に挨拶をした。
 お久美さんは好い逃時の様に※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子を一寸見たきり音も立てずに奥へ引っこんで仕舞ったあとで二人は下らない世間話をして居たが機を見て※[#「くさかんむり/惠」、第3水準1−91−24]子は却って金の催促をされる様な顔を仕ながら、
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「あの橋本の事を種々御面倒になって居りますそうですけれど、どんな工合になりましたろうね。
 祖母も気を揉んで居りますし、東京の家でもなるたけ早く極りをつけたいと云ってますから。
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とやっとの思いで口を切った。
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「ああその事ですか。
 それはね、ほんとにお気の毒様なんですけれど、思う様に行きませんのですよ。
 第一向うは商人ですからね。
 そんな事になるとなかなか抜目なく立ち舞いましてね。素直においそれとは出しませんですよ。
「そりゃあそうでしょうってねえ。
 ああ云う風な商売をして居ては金を借りるのにもなれてましょうから。
 けれ共近頃に行らっしゃっていただけたでしょうか。
「さあ、どうでございますかね。
 もう此頃は何ですか、いそがしがって、御覧の通り今日ももう家に居ませんのですから。
 きっと又思いながら行かれないで居るんでございましょうよ。
 それにああ云う事はどうも機《しお》が有りましてね。
「ほんとに御いそがしいのに御無理でしょうからね。
 祖母も、あんなに用が沢山御あんなさるのに御たのみして置くも心ないって云って居ますんですから、あんまり御面倒の様でしたら御遠慮なく御断り下すった方がようございます。
 僅かばかりの事なのですから、誰にでも出来ましょうから……
「いいえ迷惑の何のと云う事じゃあ有りませんのですよ、切角自分も思って仕始めた事だからどうしてもまとめて仕舞い度いとは申して居りますんですからね。
 只あんまり長く掛ってすみませんのですけれど。
「御迷惑でさえ有りませんでしたら此ちらも願って置いた方がいいんですけれ共……
 祖母も云って居るんですけれ共、どうせ返す見込みがないものならなかった物だと思っ
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