ろこびを、プロメシウスの物語は力づよく語っている。
 私たちの生きている今日という時代には、できあいの智慧、販売されている知識、多量生産標準型の聰明さというふうなものがあんまり多い。人生的であり、生活的であるからこそ厳粛でもあり、美しく、またかがやかしい人間の智慧、知識が、それぞれの人の生きかたによって整理され、組合わされたものでなくて、模写されているだけの場合がすくなくない。教養のある女性が、とかく観念的であるといわれることは、どこに理由があるのだろう。女性は、みずみずしい智慧のいのちをとりもどし、それをわがものとしなければならない。
[#地付き]〔一九四七年一月〕



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「女性改造」
   1947(昭和22)年1月号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
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