して出版される。この本が編輯されるまでに集めることのできなかった数篇をのぞいて。ソヴェトとして、この本にしるされている見聞は、ふた昔ちかい時代のことになっているだろう。しかし、日本のわたしたちにとっては決して古びて役にたたない歌のふしではない。なぜなら、こんにち十八歳になった日本の青年男女たちは、いちども、こういう事実は見知らされないで成人して来なければならなかったのだから。そして、青春こそ、いつも歴史の英雄であり得るとともに、いたましい犠牲でもあるのだから。わたしはこの一冊を、すべての偏見をこのまない、善き人々におくる。
   一九四九年四月十日
[#地付き]〔一九四九年五月〕



底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年5月30日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
   1953(昭和28)年1月発行
初出:「宮本百合子選集 第八巻」安芸書房
   1949(昭和24)年5月発行
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このフ
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