あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)犇《ひし》めいて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)狐疑[#「狐疑」は底本では「孤疑」]
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「古き小画」の新聞切抜きが見つかって、この集に入れられたのは思いがけないことだった。この、ペルシャの伝説から取材した小説は一九二三年の夏じゅうかかって執筆され、書き上ってから北海道の新聞にのせられた。スカンジナヴィア文学の専攻家でブランデスやハムスンを日本に紹介した宮原晃一郎氏が、故郷である北海道の新聞へ何か作品をということで書き出したものだった。このたび思いがけなく新聞切抜きを発見することができたのも、宮原氏の未亡人の協力によった。
新聞に連載した小説ではあるが、「古き小画」はまるで新聞小説ではない。古代ペルシアの英雄ルスタムとその息子との悲劇の、謂わば古風なものがたりであり、文体もそういう古風な絵の趣を保とうとされている。そして、作品の人物にあらわされている風俗のあらましは、古代のミニェチュアや文献をしらべてかかれた。
作者の作品の全系列に置
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