文学との関係をふくむヒューマニティとその正義の課題として。
この巻におさめられているもう一つの評論「近頃の感想」は、「一連の非プロレタリア的作品」から二年のち一九三四年にかかれたものである。このなかにも「一連の非プロレタリア的作品」のまきおこした渦巻とそれについての当時の感想がもらされている。
「一連の非プロレタリア的作品」をめぐってくりひろげられた当時の情景は、さまざまの角度から劇的な一つの図絵である。わたしとしては、この経験から根本的な一つのことを学ぶことができた。それは、作品批評とはどういう風にされなければならないかということについての、批評の階級性ならびに人間性についてのより深められた理解である。
この経験から学びとられた教訓は、更に、それからあとにつづいたおそろしい混乱の長い期間をとおして、一層わたしという一人の階級的作家にとって重大な意味をあらわした。「一連の非プロレタリア的作品」をめぐる論争とその人間図絵の過程を通って、いわばわたしは、わたしとして真実身についた階級的抵抗力をもつことができたのであった。
一九三三年以後のかしましく苦しい転向の問題、その問題がおこるよ
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