あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)異国趣味《エキゾティシズム》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)やけど[#「やけど」に傍点]させたばかりでなく、
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一九三〇年の暮にソヴェト同盟から帰って来て、翌年「ナップ」へ参加するまで、わたしは評論、紹介めいたものを書いたことがなかった。また、人の前に立って、文学についてそのほかの話をしたという経験もない。そして、それを自分の気質と思っていた。
ところが、この枠はまず思いがけない機会からモスクワで打ち破られ、段々わたしは自分の文学活動の範囲に、小説よりほかのものをうけ入れるようになって行った。わたしの場合、それはあきらかに作家としての社会性の拡大であり、また進歩的な文学者の良心的義務の一つであるという自覚であった。
一九三一年、一月号の『ナップ』に「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」をかきはじめてから、わたしの評論的活動がはじまった。
選集第十巻に収められている文学評論は、一九三一年から三六年(昭和六年――十一年)ごろまでの間にかかれ
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