。ナチスが侵略して来たとき、雄々しく闘って、世界の民主主義と自分たちの社会を守った青年や少女はやっと生れたばかりであったろう。五ヵ年計画はその第一次が完成したところで、わたしの紹介も終っている。わたしのみたモスクワは、そしてレーニングラードは、昔ばなしの中の都となっている。けれども今日までたゆまずそこにくりひろげられ、発展されている社会主義的生活のよく艱難にたえてのびゆく芽立ちは、二十年前の現実の細部の中にまざまざと生きている。ソヴェトについてのこれらの物語は、古くて新しい。こんにちの歴史の下では、単にロシア国内の事情というにとどまらず、世界の人民の業績の一つの典型として感じとられるこれらの印象記や報告が一冊の本にまとまって出ることはうれしい。
 発表当時、会話が棒ではじまっていたり、くせのあるてにをはがつかってあったりした部分は、不必要な漢字と一しょにこのたび訂正されている。当時伏字にされて今日ではうずめられないところは、その要旨を附記してそのままにされている。終りには「社会と人間の成長」がそえられた。
   一九四九年三月
[#地付き]〔一九四九年五月〕



底本:「宮本百合子全
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