何となし今日の時代的な荒い空気に吹かれていて、若い婦人の手による一つの仕事として、おのずから感想を刺戟される。目前の生活の必要に追われず、一定の教養もある若い令嬢の仕事として翻訳はいいと思うけれども、それはジャーナリスティックなものに追われず、同時に文学作品ならその作品の世界の純一さに対する訳者としての敬意を失わないものでなければならないと思う。生活態度の真実というものの実際は、そういうところにもあるわけである。
[#地付き]〔一九四〇年九月〕



底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年4月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
親本:「宮本百合子全集 第八巻」河出書房
   1952(昭和27)年10月発行
初出:「新女苑」
   1940(昭和15)年9月号
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
2003年7月13日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボラン
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