の点ではスーザンのそういう生活への感情は現代の多くの若い世代の気持と全く相通じるものをもっていると云えると思う。また、私はいつも私であっていいのだ、という確信をもって生きたい、そのようにして生きる条件を見出したいと思う願いも、今日私たちのまわりに高鳴っているおびただしい若い女性の心奥に絶えず動いている念願ではないだろうか。
私は私であっていいのだという確信を貫いて生きるためには、現実の中で何と苦しい相剋や矛盾を耐えてゆかなければならないだろう。
パール・バックの優れた作品の一つに「母の肖像」というのがある。この母の時代の姿であらわされているアメリカの女の強靭な生活力が、次の世代である娘の時代の姿として「この誇らかな心」となって表現されてきていることは、非常に興味深いことである。パール・バックは、「母の肖像」で豊富な生活力が自然の豊かさそのままの活力と現実性とであふれ動く姿として母の生涯を描いたと同じように、世代の動きによってスーザンによりひろい知的な領域と芸術の天分とをもたらした。そして、やはり、判断と行動との原動力を、常に「どうしてもしなければならないという感じ、その感じに押出さ
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