七日。暑い日 さい
金魚、一匹を大きい二匹で追い廻して居るので、労って游がしょうかと思って居たら、瀕死にさせてしまったと、いう。
仕事をしかけて居る。
六月九日から十九日位まで曇か雨。形よく往来の梧桐が葉を出した。
前々夜見た自動車に轢かれた犬。吠えたかった数匹。
○隣の大工仕事、
こわした家、新しく建てる家
六月二十五日から林町に来る
スーラーブ進む
七月七日
妙に寒い日 腸をこわす、下痢疲れ。仕事出来ず
七月八日
朝食堂にゆく
有島氏の死 四十六歳
九日 告別式
十日 髪を洗う
十一日 風の強い、始めての蝉の声
夏らしい日
七月三十一日 福井に来
九月一日 大地震
四日 四時五十分出発
五日 午後九時半 田端
六日 国男より 自筆の手紙
亢奮して居る英男
十月九日
林町へ行く途中
九段、爆発 その音をきいて、やけ出されの女
「ここに居て大丈夫でしょうか」
と頻りにきく
「皆さんが居らっしゃるから大丈夫でしょうが」
群をたのむ心、その危険
二人の中老人、頻りに甘粕をほめ、社会主義者を殺せという、
直ぐ隣りの一人の四十七八の男
手帖を出し
「一度肉体死するや其霊魂は」
と節をつけて文章をよんで書いて居る。
十月十日 甘粕事件 公判開始
十月二十日
白菊の盛、蠅多き秋
○国男折角来たのに「居たって何にもなりゃしない」
翌年 仕事をし始める。
四月十一日 伊太利亜の古陶、心の河、それをしまって野上さんのところへ行ったときYに会う。
二十二日 Y来 散歩。
二十八日 鎌倉
五月六日 Yと活動を見る。
九日 安積に立つ。
五月二十八日 Y、安積へ来る。一日かえる。
四日、自分 Yのところへゆく。五日 林町〜電話、かえる。
六日 朝aから電話 夜、青山へかえる。
六月 七日八日二日、“do you still love me?”
A料理して私にたべさせ、返事をせまる。
別れると返事す。A 鳥籠を破る。
○「一旦結婚して男はとても一人で居られるものではない。肉体的な意味でなしに。――女はそうではないかもしれないが」
いじくる。(何を考えて居るか)
草木の手入れの仕方
庭のやかましさ、
Aの大工仕事。傍での読書
バルダスの切符{夫、自分はもうそう長くは生きないのだ、其那余裕はない。
{妻、若し。その死ぬまで死ぬまでと云って居る夫について何も見ず聞かずに暮す恐怖
○自分は何かにかつえて居る、という心持
○愛を求めすぎるという考、
○自立する生活について考える。
○そら見ろと思われるのがいやさ
+
○男から男へと行くのはいやという考え。
前のでは よくして行こうとする心持。
今度のでは 別れることを考えつつひかれひかれつつ考える、
次のでは 心冷えてしまう。
底本:「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社
1981(昭和56)年5月30日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第2版第1刷発行
初出:同上
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2004年2月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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