遺憾としているのである。
民衆が過去の歴史において日常の社会生活における自主性を確保して来たイギリスが、ラジオ協会に対する投書に於ても最高を示しているということは意味あることであろうと思う。日本のラジオの組織やプログラムの内容が、今日の民衆に対して、益々自発的見解を社会事象に対して忌憚なく表明させるような方向へ作用しているか、否かを公平に省察すると共に、聴取者は素直に、積極的に、中央放送協会によって公言されている次の態度を身につけるべきであろうと思う。協会は当事者として聴取者に求めている。「何事に対しても多数の人が銘々の意見や希望を投書によって率直に述べるということは其事業を大衆的に効果あらしめる最もよい手段であって、ラジオに対する欧米人の態度が丁度このよい例である。」と。更に「ラジオは百万聴取者のもの、否国民全体のものである。」「ラジオは又『自分らのラジオ』であるという認識をもってよりよき[#「よりよき」に傍点]ラジオの為に常に協力」すべきであると。この数言に何と含味すべき豊富な歴史性が包含されていることであろう。[#地付き]〔一九三七年八月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四
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