村大尉がころされた。しかも好都合なことには、同じ満州に野心をたっぷりのイギリスでは、不景気の金輸出禁止でゴタつき政府がかわったり何かしている。ソラ、この時をのがすなとばかり中村大尉事件と鉄道ハカイを口実[#「口実」に×傍点]に、日本[#「日本」に×傍点]のブルジョアはワーッと満州[#「満州」に×傍点]にのし出し、〔二字伏字〕し、お手盛で手先となる支那ブルジョアを〔二字伏字〕政府[#「政府」に傍点]に〔三字伏字〕こんだのです。
 それを知ったイギリスのブルジョア、アメリカ、フランスのブルジョアが黙っていない。お前に満州や支那の利益を独占されてはやりきれないと、いろいろごてつく。――つまり、分け前のかけ合いをはじめた。ジェネ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の国際連盟というものの本体はこれです。
 ところで、支那のプロレタリアート・農民の身になって考えて見て下さい。われわれが工場、農村でブルジョア・地主にしぼられるとおりしぼられ、しかもその地方のブルジョア御用軍閥が戦うたんびに税はとられる。畑は荒らされる。年じゅう飢饉も同じです。その上に、日本[#「日本」に×傍点]やアメリカ、イギリス
前へ 次へ
全17ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング