点]を外に求め、それを押しつける。
 今われわれは尤[#「尤」に×傍点]らしいものとして満蒙の利権擁護というものを押しつけられているわけです。
 一昨年からの不況は何しろ、一般の生活にこたえて来ている。まして、暮れに迫って、誰しも「何とかならなければ……」という気分が世間にみなぎっておった。
 そこへ、さもこの世界的(ソヴェト同盟をのぞいて)不況がそれで救われでもするように、われわれ搾られているものの利権、生命線がそこにありでもするようにジャンジャン満蒙事件をアジリまわす。
 何とかならなければという行きづまった世間の気分はうまくブルジョア・地主に向きを換えられソラされてしまったのです。
 そればかりか、この満蒙事件をキッカケにブルジョア・地主の政府は愛国主義、ファシズムをふりかざし一切の大衆的な働く者の闘争的な力を、根こそぎ押し潰そうとしているのです。
 満蒙問題を、さも挙国一致で、プロレタリアート・農民・小市民まで〔二字伏字〕しなければならない問題のように扱っているところに〔二字伏字〕があらわれている。
 この一大事の時にストライキなんぞをする奴があるか、国賊奴!
 小作ソーギなん
前へ 次へ
全17ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング