として起訴につよく反対いたします。
同時に、わたくしの心に生じている疑問について、みなさまにおきき頂きたいと思います。それは左の点です。
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一、小山書店が、「チャタレー夫人の恋人」につけた読書調査のアンケートは、こんにち小山書店が、この本の文学性を強調して、たたかうについて、果してふさわしく且つ有効なクレイムをもつものでしょうか。
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「この作品は発表にあたり全世界の物議をかもしたものであります」とだけかかれていて、問題がおこってからジャーナリズムの上に諸家がかかれているような、文学史的意義の評価、ヒューマニティーの問題としてローレンスがとらえた性のモメントは、二〇年前のヨーロッパの中流的偽善に何を投げたかという社会的意義などについて、一行も説明されていません。
アンケートの質問は、文学的[#「文学的」に傍点]であるでしょうか。
わたくしは起訴につよく抗議する者として、この点に関心をひかれないわけにはゆかないで居ります。
九月二〇日[#地から4字上げ]宮本 百合子
文芸家協会 御中
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