か家の中に加担した男がいて、その男の手引きで、仕事をしたらしいと思うんですがね――探偵、あなたにちょっと御注意しておきたいことは、ここの、案内のボーイですね、あれを捕えてお調べになってみたら。――なんでも最近お雇いになったったと云うお話でしたね、博士……」
「ええ、あの若僧が見えないんですよ。今朝から」
 とトレベリアン博士は云った。
「今、女中や料理番がさがして歩いているんですがね」
 ホームズは肩をそびやかした。
「彼奴《きゃつ》はこの事件で少なからず重大な役目をしているんですよ」
 彼は云った。
「三人の男たちは、爪さきで階段を昇って来たんですね、――年をとった奴が最初で、それから若い男、それからその分からないもう一人の男が一番あとから……」
「確かにそうだね、ホームズ君」
 と、私は不意に、思わず口をはさんだ。
「それは、たしかに足跡が重なり合っているのを見れば、疑う余地はないんです。――私は昨夜のうちにつけられた足跡を調べてみました。――で、彼等はブレシントン氏の部屋の入口までのぼって来たんです。しかし入口の戸は鍵がかかっていた。そこで彼等はどうしたかと云えば、針金の力を応用
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