かもその方針をなおつきつめてみると、君たちの中の一人は、彼の女と結婚し、それから他の方は、そうして得た獲物の、分け前を取ると云うことであったろう。そして更に、何かの理由からウードレーがその夫に選ばれたんだね。その理由は何だったんだね?」
「私たちは航海中に、カルタで賭けて、彼が勝ったのです」
「ふうむ、そんなことか、――そこで君はあの娘さんを雇い入れて、ウードレーはそれに、持ちかけると云うことだったんだね。しかしあの娘さんはウードレーを、飲んだくれの悪漢ときめてしまって、てんで相手にはならない、――その中《うち》に君があの娘さんに恋をしてしまって、君たちのお膳立ては、すっかりと覆ってしまうこととなった。君はもうあの娘さんを、あの悪漢に渡すことが出来なくなってしまった」
「えい、私は金輪際、渡すことが出来ませんでした」
「そこで君たちの中には喧嘩がおっぱじまってしまった。そして喧嘩分れとなって、彼は今度は君にはかかわりなく、勝手に計画を立てた」
「ウィリアムソン、この方は何もかもちゃんと知っているには驚いてしまったね。」
 カラザースは、苦笑しながら叫んだ。
「そうです、確に私たちは喧嘩をしました。そして彼は私を打ちのめしました。とにかくここまでは私は、彼と全く同等です。それからは私は、彼とは逢いませんでしたが、しかしこの時に彼はここに居る、相棒を拾ったのでしょう。それから私は、この連中が、彼の女が停車場に行くに、通らなければならないところに、すなわちここですが、家を持ったと云うことは、わかっていましたが、それからどうも、不吉な予感がしてならないので、私は彼の女から、目を放さないようにしました。それからまた、あいつめ共は、どう云うことを企らんでいるかと云うことも、気がかりでしたので、時々あの連中にも目をつけました。二日前にウードレーは、あのラルフ・スミスが死んだという電信を持って、私のところに来て、例の契約を履行するか否かを訊ねました。私は出来ないと云いますと今度は、もし私自身が彼の女と結婚することになったら、分け前を出すかと云いますので、私は、出したいことは山々だが、しかし彼の女は結婚してはくれないだろうと云いました。そうしたら彼は、『とにかく彼の女を結婚させようではないか。そうしたら一週間か二週間もたったら、また少しは違った目で、物を見るようにもなろう』と云うので
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