に招待状を貰うのが常だったことを、僕は覚えているよ」
「それで、この手紙は、彼から来たものであることが、いよいよ疑いなくなった」
 僕は云った。
「そこで、僕たちに残されたことは、この船乗りのハドソンが、このお金持ちの尊敬すべき二人の男の頭を押さえているように見える所の、その秘密は何かをさがし出すことだけだ」
「ああ、ホームズ。――僕はそうすることは、一種の罪悪であり、また恥辱じゃないかと思うんだよ」
 僕の友達は叫んだ。
「しかし、僕は君に何もかくし立てしようとは思わない。――実は、ここに僕の父親が、ハドソンが自分の身に危害を加えそうになっていることが分かった時、自分で書いた陳述書があるんだよ。僕はそれを、親じが医者に遺言した通り、日本箪笥の中から見つけ出したんだが。――それを僕に読んできかせてくれたまえ。僕には自分で読むだけの力も勇気もないんだ」
 ワトソン、それがつまりこれらの書類なんだよ。その時彼が僕に手渡したのが。――僕は今ちょうど君にここで読んできかせるように、その夜は、その古い書斎で僕の友達に読んできかせたものなんだ。それには君が見られる通り――一八五五年十月八日、ファル
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