。
「それに相違ないと、僕は思うよ」
彼は云った。
「それは死よりももっと恐ろしいことだ。なぜならそれは恥辱に等しいからね。だがしかし、これらの『主任看視人』だの『雄鳥《おす》の雉』だのって云うのは何の意味だろう?」
「それはこの手紙では何の意味も持っていないね。けれども、もし僕たちが、この手紙以外に、この手紙の差出人をさがすよい方法がないものとすれば、それらの文句はかなりいろいろな意味を持っているよ。――この手紙は『計画は……なされたり……』とそう云う風に書き出されているだろう。そう云う風にさきに書いといて、あらかじめ定めてあった暗号通りに、そのあいた所へ意味の通じるような適当な文字を二字ずつあてはめたんだね。その時は、心に浮んだ最初の文字を自然に使ったんだ。ところが、そこには猟に関係した言葉がずいぶんたくさんあるのを見ると、この人はかなり熱心な銃猟家で、鳥を飼うことに趣味を持ってる男だと云うことが分かるだろう。――君は何かこのベドウスと云う人について知ってるのかね?」
「なるほど、君の云う通りだ」
と、彼は云った。
「秋になると、死んだ親じは、ベドウスから彼の地所で猟をするよう
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