ら青白い呪を吐く。
 サア! 行け! 一切を蹂躙《じゅうりん》して!
 ブルジョアジーの巨人!
 私は、面会の帰りに、叩きの廊下に坐り込んだ。
 ――典獄に会わせろ。
 誰が何と言っても私は動かなかった。
 ――宇都の宮じゃないが、吊天井の下に誰か潜り込む奴があるかい。お前たちは逃げたんじゃないか。死刑の宣告受けてない以上、どうしても俺は入らない。
 私は頑張った。

[#地付き](大正十三年〈一九二四〉十月「文芸戦線」第一巻五号)



底本:「葉山嘉樹 短編小説選集」郷土出版社
   1997(平成9)年4月15日初版発行
底本の親本:「葉山嘉樹全集 第一巻」筑摩書房
   1975(昭和50)年
初出:「文芸戦線 第一巻五号」
   1924(大正13)年10月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:A子
校正:林 幸雄
2009年3月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全9ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
葉山 嘉樹 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング