うでしょうあいつだけを、下船させることにして、あとはチビチビやったら……でないと横浜正月がフイになりますよ」
 チーフメーツもボーレンを探っていたのだ!
 「そうだなあ! 僕も、浜で正月をしたいと思ってるんだが、それさえなけりゃ、十日や二十日|錨《いかり》を入れたってかまやしないんだけどなあ、じゃあ、応急手当として、ストキだけ下船さすか」船長も賛成した。
 「それがいいと、思うんですがね。ただ、その方法です。どういうふうにしたらいいか、皆の前でやるか、それとも一人だけ呼んでやるかですがね。で、もし、水夫ら全体があいつについて行くというような時には、二十か三十やって追っぱらうよりほかに、仕方がないと思うんですよ」チーフは何でもいいから、彼が、この船から「消えてなくなれ」ばいいと思うのであった。
 「そう! 何にしても、この際時間を争うんだからね。どんないい方法も遅れちゃいけないんだから。じゃ、ストキのやつに下船を命じよう」船長は言った。「だが、一体、やつらは何という不都合なやつらだろうな。これが横浜だったらなあ」
 船長は、横浜でないことを、返すがえすもくやしがった。やつらを「殺しても、
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