ハッハハハハハ」とうとう船長も、あまりのストキの言葉にふき出してしまった。「恐ろしい資本家もあったものだ! ハッハッハハハハハ、蚤《のみ》と南京虫《なんきんむし》のだろう!」
 メーツらは皆笑った。セーラーたちが、資本家とは珍しい言葉だった。
 「もし、私たちを資本家だと思っていないのならば、奴隷《どれい》と思ってるだけです。私たちの売ることのできるものは、私たちの労働だけです。つまり『からだ』だけです。だが、それも、私たちのものでないと考えられるならば奴隷だ、と考えられることになるのでしょう。しかし、奴隷だったら、なぜその奴隷の生命を大切にしませんか。奴隷は、あなたたちの財産じゃありませんか。私たちの生命が、あなたたちにとって、まるで、どうでもいいものになったのは、私たちが奴隷から、資本家、すなわち賃銀奴隷になったからです。それは、とっかえるほど新しい、いい商品が、無限にあるからです。
 それに、私たちは、いつまでも、どんな奴隷ででもありたくはなくなったんです。どんな機会にでも私たちは、私たちを縛る鉄の鎖を打ち切る用意をしているのです。
 私たちは、人間として、生きようとしているので
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