不利であるから、これは時期を見なければいけない、これほどの少数で、完全に勝つためには機会を握ることが第一だ。その時は今ではない。だから、その時を待って力を示すために、今は忍んだ方がいい。それに今はなんでもないことなんだからと、種々《いろいろ》と話をした。
 「だが、今はいい時だがなあ、正月前だし、横浜にはギリギリに帰れるかどうか、という時なんだからなあ。条件がそろってるんだがなあ、ただ冬であるってことが悪いだけだ。ボーイ長は雇い入れなしで負傷させて打っちゃってあるし、おれたちは、全く馬車馬か奴隷かで甘んずるなら、それでもいいだろうけれど、――それに、いま時分、室蘭に休む者はありゃしないと思うんだがなあ」と波田は主戦論を唱えた。
 「だから、今は仕事をしなければならないんだろう。今は、室蘭に休んでる者があるかないか、ハッキリしてないから、今は仕事をしなければならないんだろう。その代わり、今夜上陸した時に、僕らは休んでる者があるかないかを探ることができる。で、もしいないということになれば、出帆間ぎわに船を動かさないことができるだろう。横浜まで、電報でセーラーを呼ぶにしても、いくら早くても、
前へ 次へ
全346ページ中195ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
葉山 嘉樹 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング