むように彼は注釈を加えた。
「クラブです」
 ああそうだったか、それなら最近聞いてはいるが、私はどうにも不愉快になってきたので口をつぐんでしまった。
 山に行く人々がお互いに分けへだてなく話し合えることはできないのだろうか。そこには自《おのずか》ら礼儀が保たれねばならない。山に行く人間だからではない、人間だからである。うちの会ではどうやっていてくれるだろうか。私は若いGたちの顔をもう一度そっと思いうかべた。
[#地から1字上げ](昭和二十二年十月 会報・山窓欄)



底本:「風雪のビバーク」二見書房
   1971(昭和46)年1月12日初版発行
入力:ゼファー生
校正:門田裕志
2005年2月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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