つ》十種ばかりそのほかかんじき蓑《みの》帽子など掛け並べ、そのつづきには満洲にありしといふ曼陀羅《まんだら》一幅|極彩色《ごくさいしき》にて青き仏赤き仏様々の仏たちを画がきしを掛け、ガラス戸の外は雨後の空心よく晴れて庭の緑したたらんとす。昨日|歯齦《はぐき》を切りて膿汁《うみじる》つひえ出でたるためにや今日は頬のはれも引き、身内の痛みさへ常よりは軽く堪へやすき今日の只今、半杯のココアに牛乳を加へ一匕《ひとさじ》また一匕、これほどの心よさこの数十日絶えてなき事なり。[#地から2字上げ](六月十一日)
植木屋二人来て病室の前に高き棚を作る。日おさへの役は糸瓜《へちま》殿夕顔殿に頼むつもり。
碧梧桐《へきごとう》来て謡曲二番|謡《うた》ひ去る。曰《いは》く清経《きよつね》曰く蟻通《ありどおし》。[#地から2字上げ](六月十二日)
日本の牛は改良せねばならぬといふから日本牛の乳は悪いかといふと、少しも悪い事はない、ただ乳の分量が少いから不経済であるといふのだ。また牛肉は悪いかといふとこれも、牛肉は少しも悪い事はないのみならず神戸牛と来たら世界の牛の中で第一等の美味であるのだ、それをな
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