中に「も」の字最も多く用ゐらる。たとへば
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桐の木に鳴く鶯《うぐいす》も[#「も」に白丸傍点]茶山かな 碧梧桐
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の類なり。その可否は姑《しばら》く舎《お》き、碧梧桐が一種自家の調をなすはさすがに碧梧桐たる所以《ゆえん》にして余はこの種の句を好まざるも好まざる故を以てこれを排斥せんとは思はず。しかるに俳人の中には何がな新奇を弄《ろう》し少しも流行におくれまじとする連中ありて早く既にこの「も」の字を摸せんとするはその敏捷《びんしょう》その軽薄実に驚くべきなり。近日ある人はがきをよこしていふ、前日投書したる句の中に
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いちご売る世辞《せじ》よき美女や峠茶屋
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とありしは「美女も[#「も」に白丸傍点]」の誤につき正し置く、一字といへどもおろそかにはなしがたき故わざわざ申し送る云々とあり。これ碧梧桐調を摸する者と覚えたり。碧梧桐調は専売特許の如き者いち早くこれを摸して世に誇らんとするは不徳義といはんか不見識といはんか況《ま》してその句が平々凡々「も」の一字によりて毫《ごう》も価を増さざるをや。一
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