だ興あり。
[#ここから4字下げ]
す薦《ごも》敷き青菜煮もてきうつばりにむかばき懸けてやすむ此君
[#ここで字下げ終わり]
食事の時の有樣なるべし。或る人が行騰《むかばき》を梁に懸けて休息して居る處へ薦(食事のために敷く者)を敷き菜を煮て持て來たといふ事にて、材料極めて多し。
[#ここから4字下げ]
はちす葉はかくこそあれもおきまろが家なる者はうもの葉にあらし
[#ここで字下げ終わり]
うもの葉は芋の葉なり。おきまろは人名なり。これは蓮の葉を見て「これが蓮の葉ぢや、おき丸の内にあるのは芋の葉であつたらう」といふ意なり。無邪氣なる滑稽今人の思ひよらぬ處なり。
[#ここから4字下げ]
玉箒刈りこ鎌麻呂むろの樹と棗《なつめ》がもとゝかき掃かむため
[#ここで字下げ終わり]
鎌麿は鎌を擬人法にしたるなり。玉箒は箒木なるべし。我邦に擬人法無しといふ人あれど物を人に擬するは神代記に多く見え歌にも例あり。此卷に鹿と蟹とが自己の境遇を述ぶる長歌二首あり。擬人法の長き者なり。
[#ここから4字下げ]
からたちのうばら刈りそけ倉建てむ屎《くそ》遠くまれ櫛造る刀自
[#ここで字下げ終わり]
歌に糞
前へ
次へ
全10ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング