るかへる夕かな
【別戀】
葛の葉をふみ返したる別哉
こぼす露こぼさぬ露や萩と葛
葛の葉の花に成たる憎さかな
唐辛子一ツ二ツは青くあれ
すさましくつツ立つさまや蕃椒
秋風に枝も葉もなし曼珠沙花
ひし/\と立つや墓場のまん珠さけ
そのあたり似た草もなし※[#「※」は「「曼」で「又」のかわりに「方」をあてる、137−11]珠沙花
野ぜんちをさゝへて咲くや※[#「※」は「「曼」で「又」のかわりに「方」をあてる、137−12]珠さけ
餘の草にはなれて赤しまんじゆさけ
酒のんだ僧の後生やまんじゆ沙花
團栗や内を覗けど人もなし
竹椽を團栗はしる嵐哉
團栗もかきよせらるゝ落葉哉
椎ひろふあとに團栗哀れ也
どんぐりの落つるや土手の裏表
どんぐりのいくつ落ちてや破れ笠
どん栗や一ツころがる納屋の隅
團栗にうたれて牛の眠り哉
桐の木に雀とまりて一葉かな
桐の木に葉もなき秋の半かな
あぜ豆のつぎめは青し稻莚
高低に螽とぶなり稻むしろ
行く秋や刀豆一ツあらはるゝ
刀豆や親王樣の齒の力
すさましややもめすむ家の蕃椒
雨風にます/\赤し唐辛子
蓼をくふ虫はあるとや唐辛子
唐辛子辛きが上の赤さかな
一すぢに思ひつめ
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