れにて
乞食の燒食匂ふ殘暑かな
秋のくれ見ゆる※[#「※」は「しんにょう+占」、第4水準2−89−83、101−14]見るふしの山
繩簾蛇にもならず秋くれぬ
信州の下女が手打の茶そば哉
合宿の齒ぎしりひゞく夜寒哉
ふみつけた蟹の死骸やけさの秋
親もなき子もなき家の玉まつり
朝寒やちゞみあがりし衣の皺
ひらりしやらり一ツ葉ゆれてうそ寒し
【輕井澤旅亭】
鼻たれの兄とよばるゝ夜寒哉
【文科大學遠足會】
秋しらぬ旅や同行五十人
雨の夜はおくれ給はん魂迎
魂送り背戸より歸り給ひけり
一人旅一人つく/\夜寒哉
蚤蝨へつて浪人のうそ寒し
缺徳利字山田の案山子哉
送火の何とはなしに灰たまる
行秋や松茸の笠そりかへる
茸狩や心細くも山のおく
人の目の秋にうつるや嵐山
灯ともせば灯に力なし秋の暮
見た顏の三つ四つはあり魂祭
砧よりふしむつかしき鳴子哉
あら駒の足落ちついて秋の立つ
燈籠の朧に松の月夜かな
燈籠の竹にうつろふすごさ哉
行く秋や松にすがりし蔦紅葉
行く秋やまばらに見ゆる竹の藪
試みに案山子の口に笛入れん
嚊殿に盃さすや菊の酒
月細り細り盡して秋くれぬ
宿の菊天長節をしらせばや
攝待や乞食
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