り]
枕もとの時計の音のみ聞えて天地は極めて静かな。
椽側に置いてある籠の鶉、物に驚いたやうにはねる音がする。
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うと/\と眠る。
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汽車が通つたさうな。
忽ち表の戸をはげしく敲く音に眼が覚めた。何事かと思へば新聞の配達人が人を起して新聞の不着の言訳をするのであつた。
十二時の鐘
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午前零時より二時迄起き居る間に
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鼠の音一度
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聞きしのみ。そよとの風も吹かず。犬の遠吠もせず。動物園のうなり声も聞えず。夜一夜騒く[#「騒く」はママ]鶉も鼠も此夜は騒がず。梅雨中の静かさ、此時星の飛ぶもあるべし。
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底本:「日本の名随筆25 音」作品社
1984(昭和59)年11月25日第1刷発行
1999(平成11)年4月30日第17刷発行
底本の親本:「子規全集 第一二巻」講談社
1975(昭和50)年10月発行
入力:門田裕志
校正:小林繁雄
2003年9月14日作成
青空文庫作成ファイル:
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