すゞし
正岡子規

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)関《くわん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)意義|稍《やや》変りて

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから8字下げ、18字詰め]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)すが/\し
−−

「すゞし」といふ語は「すが/\し」のつゞまりたるにやと覚ゆれど、意義|稍《やや》変りておもに気候に関《くわん》して用うる事となり、「涼」の字をあてはむるやうにはなりぬ。月令には「涼風至白露降」といふを七月としたれば涼風は初秋の風なるべし。されば支那の詩亦多くは初秋に涼の字を用う。すゞしといふ語は万葉には無きかと思はる。古今集には

[#ここから8字下げ、18字詰め]
みな月つこもりの日よめる 躬恒
[#ここから3字下げ]
夏と秋とゆきかふ空のかよひちはかたへ涼し[#「涼し」に白丸傍点]き風や吹くらん
[#ここから8字下げ、18字詰め]
秋立日うへのをのことも加茂の川原に川せうえうしけるともにまかりてよめる 貫之
[#ここから3字
次へ
全6ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング