かけはしの記
正岡子規

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)贐《はなむけ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)縁|乍《たちま》ち

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数) 
(例)[#「塞」の「土」のかわりに「衣」、第3水準1−91−84]《から》げ

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\と
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 浮世の病ひ頭に上りては哲学の研究も惑病同源の理を示さず。行脚雲水の望みに心空になりては俗界の草根木皮、画にかいた白雲青山ほどにきかぬもあさまし。腰を屈めての辛苦艱難も世を逃れての自由気儘も固より同じ煩悩の意馬心猿と知らぬが仏の御力を杖にたのみていろ/\と病の足もと覚束なく草鞋の緒も結びあへでいそぎ都を立ちいでぬ。
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五月雨に菅の笠ぬぐ別れ哉
[#ここで字下げ終わり]
 知己の諸子はなむけの詩文たまはる。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
ほととぎすみ山にこもる声きゝて木曾のか
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