むし》の道化者|汪克児《オングル》は、葉のついた木の枝を剣に見立てて、身振りおかしく独りで戯《ふざ》け廻っている。
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汪克児《オングル》 敵にお尻を見せたことのない、成吉思汗《ジンギスカン》様のお馬さま、ちょいとこの汪克児《オングル》様に、お尻を拝ませては下さらぬか。(と抜き足さし足、滑稽な様子で成吉思汗《ジンギスカン》の白馬のうしろに廻り)ても見事な眺めじゃなあ。アラアの神さま、アラアの神様――。
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馬は後脚を上げて汪克児《オングル》を蹴る。
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汪克児《オングル》 (大袈裟に仰天し、引っくり返って)うわあっ! あ痛たたた! 兄弟分の汪克児《オングル》めをお蹴りなさるとは、ちぇいっ、はてさて情ないお心じゃなあ。聞えませぬ、聞えませぬわいのう。(泣き声を装《つく》る)
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一同はどっと笑う。
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哲別《ジェベ》 うるさいっ! 殿はお眠みなの
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