は、それから半時間の後だった。
ルウス・ジュッドが、良人の前に現れたということを聞き込んで、ああしてテイラア課長も、タイムスのナダン記者も、狼狽しながら知らん顔して、急いで捜査本部を立ち出でたのだった。S・Pの駅頭にトランクが開かれてから、実に四日目の午後である。
ルイス・P・ラッセル判事――此の人はいま現に羅府で弁護士を開業している――が、ジュッド医師の身柄を保管していて、この逮捕の時にも、その現場に居合わせた。
お昼頃、何処からともなく電話が掛って来た。女の声である。秘書のリチャアド・カンテロンが応答すると、
「ジュッドさんはそちらに居ましょうか」細い、かすれたような声で、「私はルウス・ジュッドですけれど」
その瞬間のカンテロンの驚きは、現しようがない。が、直ぐ彼は、その部屋に居合わせる新聞記者を警戒しなければならないことを思い附いて、
「いいえ」出来るだけ平静な声だ。「ですが、一時間以内にミュウチュアル二三三一番へ電話をお掛けになれば、そちらでお話の出来るように取り計らいましょう」
これで、電話が切れた。
この電話番号は、同じビルディング内の弁護士パトリック・クウ
前へ
次へ
全68ページ中49ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
牧 逸馬 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング