前日停車場の帰りに、弟のバアトン・マッキンネルの渡した五弗のほか、金を持っていないらしいという見込みは外れないところだが、万一を慮《おもんぱか》って、凡ゆる停車場、桟橋、飛行機発着場、バスの停車場、タクシの溜り、それらに厳重に見張りが立って、完全に飛ぶ機会を押えている。
墨西哥国境へも手配が飛んで、徒歩で国境を破る警戒に備える。加州の犯罪者は、よく山伝いにメキシコへ逃げ込むからだ。殊にこのルウス・ジュッドは、かなり流暢に西班牙語を話すという。米墨の国境が臭いとは、捜査課員の頭にぴんと来た。同時に、ありとあらゆる発表機関を挙げて、この「女虎」の逮捕に協力せんことを一般民衆に依頼する。新聞紙は勿論、目抜きの通りのスカイサイン、ラジオ、それらはルウス・ジュッドの名で充満している。国道伝いに羅府に出入する自動車の凡べてに厳命が下って、途中歩いている女を認めたり、また、女で、乗車を乞うたりする者があったら、すぐ最寄の警察へ届出るようにというのだ。十七人の若い女が、南加州の各地で、ルウス・ジュッドに似ていると言うので逮捕され、身許保証がはっきりするまで留置されるという騒ぎ――何時ものことながら、
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