非常に異なる事である。即ち現行盗の犯人は、もし自由人ならば笞刑《ちけい》に処した後《の》ち被害者に引渡してその奴隷となし(いわゆる身位喪失の刑)、奴隷ならば先ず笞《むちう》った後ちこれを死刑に処する。しかるに、非現行盗にあっては、犯人をして盗品の価額の二倍の贖罪金を被害者に支払わしむるに過ぎないのである。同一の犯行であって、単に逮捕の時の如何に依り、刑にこれほどの軽重を設けるのは、如何なる趣意であるか。近世の思想をもってしては、到底了解し得られないところであるが、法律なるものは私力が公権力化するに依って発生するものであるという法律進化の理法をもってすれば、この難問も釈然氷解するのである。けだし初期の刑法は、個人のなすべき復讐を国家が代って行うという観念に基づいて発生したものである。そして刑法なる国法を設ける目的が、私闘を禁じて団体員をしてその団体の公権力制裁に依頼せしむるというにあるならば、その公権力制裁の方法は、個人をして自力制裁を行いたいところを耐えて、国家の刑罰をもって満足せしめる程度のものでなくてはならぬ。どうしたら個人が満足するか。恐らく自力制裁の場合におけると類似の方法程度
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