うというて、その著「安斎随筆」の中に次の如くに述べている。
[#ここから2字下げ、「レ」は返り点]
貞丈|按《あんずるに》、一銭切と云《いう》は、犯人に過料銭を出さしむる事ならん。切の字は限なるべし。其過料を責取るに、役人を差遣《さしつかわ》し、其犯人の貯へ持たる銭を有り限り取上る。譬《たとえ》ば僅に一銭持たるとも、其一銭限り不レ残取上るを一銭切と云なるべし、捜し取る事と見ゆ。
[#ここで字下げ終わり]
 次に新井白石は、一銭を盗めるものをも死刑に処することであるとして、「読史余論」の中に次の如くに述べている。
[#ここから2字下げ]
此人(豊臣秀吉)軍法に因て一銭切といふ事を始めらる。たとへば一銭を盗めるにも死刑にあつ。
[#ここで字下げ終わり]
 しかしながら第一の貞丈の説はあるいは曲解ではあるまいか。殊に軍陣の刑罰に財産刑を用いるというのは、少々受取りにくい次第である。やはり「切」は「斬」であって、事一銭に関する如き微罪といえども、斬罪の厳刑をもってこれを処分し、毫も仮借することなきぞとの意を示した威嚇的法文と見るのが穏当と思われる。
[#改ページ]

 八七 合同反抗


 合
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