ここから2字下げ、「此一部」の「一」をのぞき、「レ一二」は返り点]
此一部|者《は》、伊達十三代稙宗朝臣|所レ令レ録《ろくせしむるところ》、在判|并《ならびに》家臣之連判、誠《まことに》可二重宝一之書、頃村田善兵衛藤原親重令二進上一之処、破壊之間、令[#返り点の「下」あり]二畑中助三藤原経吉一新写[#返り点の「上」あり]、加二奥書一也。
于時延宝七年季冬朔日 伊達十九代左少将藤原朝臣綱村(花押)
[#ここで字下げ終わり]
とあるに依り、一旦塵芥に埋れたる反古の如きものであったから、後に至ってかく名附けたものであろうと言う人もあるが、それにしても、祖先の定めたる治国の宝典に、子孫または家臣がかくの如き題号をつけるとは、合点の行かぬことである。
この法典には二つの特色がある。その一は、「塵芥集」は全部一百六十九条よりなり、「貞永《じょうえい》式目」に比してその条数三倍以上であるから、武家の法典中最も浩瀚《こうかん》にして且つ最も周密なるものであること。その二は、この条目を仮名で書いてあることである。当時の法令は鎌倉風の異体の漢文多く、仮名を交えたものでも、漢字を用いることが極
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