法窓夜話
穂積陳重

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)倦《う》み

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)大岡|捌《さば》き

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)[#27字下げ]英国ロンドンにおいて

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)せん/\のせいはいにおゐてハ、
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 一 パピニアーヌス、罪案を草せず


 士の最も重んずるところは節義である。その立つやこれに仗《よ》り、その動くやこれに基づき、その進むやこれに嚮《むか》う。節義の存するところ、水火を踏んで辞せず、節義の欠くるところ、王侯の威も屈する能わず、猗頓《いとん》の富も誘うべからずして、甫《はじ》めてもって士と称するに足るのである。学者は実に士中の士である。未発《みはつ》の真理を説いて一世の知識を誘導するものは学者である。学理の蘊奥《うんのう》を講じて、天下の人材を養成するものは学者である。堂々たる正論、政治家に施政の方針を示し、諤々《
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