成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ
福沢諭吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)卒《おわ》り

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)当時|横文《おうぶん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
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左の一篇は、去る一三日、東京芝区三田二丁目慶応義塾邸内演説館において、福沢先生が同塾学生に向て演説の筆記なり。
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 学問に志して業を卒《おわ》りたらば、その身そのまま即身《そくしん》実業の人たるべしとは、余が毎《つね》に諸氏に勧告するところにして、毎度の説法、聴くもわずらわしなど思う人もあるべけれども、余が身に経歴したる時勢の変遷を想回《おもいか》えして、近く第二世の事を案ずれば、他人のためならで、自身の情に自《みず》から禁ずること能わざるものあれば、これを諸氏に説き明らかにして、かねてまた諸氏の父兄にもこの意を通達せしめんと欲するものなり。
 そもそも余は旧中津藩の士族にして、少小《しょうしょう》の時より藩士同様に漢書を学び、年二十歳ばかりにして始
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