用いたきものなり。一ヶ月六両にては、とても肉食の沙汰に及び難し。一年百両ならば十分なるべし。
一、入社の後、学業上達して教授の員に加わるときは、その職分の高下に応じ、塾中の積金をもって多少に衣食の料を給すべし。生徒より受教の費を出さしむるは、これらのためなり。
一、洋書の価は近来まことに下直《げじき》なり。かつ初学には書類の入用も少なく、大略左の如し。
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理学初歩 価一分一朱
義塾読本文典 価一分
和英辞書 価三両二歩
地理書 ┌一部に付
窮理書 ┤弐両より
歴史 └四両まで
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右にて初学より一年半の間は不自由なし。このほかに価八、九両ばかりの英辞書一部を所持すればもっともよし。
明治二年|己巳《つちのとみ》八月[#地から2字上げ]慶応義塾同社 誌《しるす》
底本:「福沢諭吉教育論集」岩波文庫、岩波書店
1991(平成3)年3月18日第1刷発行
底本の親本:「福沢諭吉選集 第3巻」岩波書店
1980(昭和55)年12月18日第1刷発行
入力:田中哲郎
校正:noriko sai
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