引《みずひき》のしを用ゆべからず。
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一、このたび出張の講堂は、講書教授の場所のみにて、眠食の部屋なし。遠国より来る人は、近所へ旅宿すべし。ずいぶん手軽に滞留すべき宿もあるべし。
一、社中に入らんとする者は、芝|新銭座《しんせんざ》、慶応義塾へ来り、当番の塾長に謀《はか》るべし。
一、義塾読書の順序は大略左の如し。
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社中に入り、先ず西洋のいろはを覚え、理学初歩か、または文法書を読む。この間、三ヶ月を費《ついや》す。
三ヶ月終りて、地理書または窮理《きゅうり》書一冊を読む。この間、六ヶ月を費す。
六ヶ月終りて、歴史一冊を読む。この間、また、六ヶ月を費す。
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右いずれも素読《そどく》の教を受く。これにてたいてい洋書を読む味も分り、字引を用い先進の人へ不審を聞けば、めいめい思々《おもいおもい》の書をも試みに読むべく、むつかしき書の講義を聞きても、ずいぶんその意味を解《げ》すべし。まずこれを独学の手始《てはじめ》とす。かつまた会読《かいどく》は入社後三、四ヶ月にて始む。これにて
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