ならざるを許す者あるべしと、あえて自からこれを信ずるなり。
帝室より私学校を保護せらるるの事については、その資金をいかんするやとの問題もあれども、この一条はもっとも容易なることにして、心を労するに足らず。我が輩の持論は、今の帝室費をはなはだ不十分なるものと思い、大いにこれを増すか、または帝室|御有《ぎょゆう》の不動産にても定められたきとのことは、毎度陳述するところにして、もしも幸にして我が輩の意見の如くなることもあらば、私学校の保護の如き、全国わずかに幾十万円をもって足るべし。
あるいは一時巨額の資本を附与せらるるとて、また、ただ幾百万円の金を無利足にして永代貸下ぐるの姿に異ならず。決して帝室の大事と称すべきほどのものに非ず。あるいは今の政府の財政困難にして、帝室費をも増すにいとまあらずといわんか。極度の場合においては、国庫の出納を毫《ごう》も増減せずして、実際の事は挙行すべし。
その法、他《た》なし、文部省、工部省の学校を分離して御有となすときは、本省においては、従来学校に給したる定額を省《はぶ》くべきは当然の算数にして、この定額金は必ず大蔵省に帰することならん。大蔵省において
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